
自動車事故や災害で車に大きなダメージを受けると、「全損」と判断されることがあります。この記事では、車が全損と認定される条件から保険金の受け取り方、手続きの流れまで、車の所有者が知っておくべき情報を詳しく解説します。事故や災害で車が大きく損傷したとき、どのような対応が必要なのかをしっかり理解しておきましょう。
全損の種類と具体的な状況
ここでは、全損の基本的な定義を解説し、どのような状況で全損と判断されるのかについて具体的に見ていきましょう。
全損とは?知っておきたい基本とタイプ
車の全損とは、事故や災害によって車両が大きな損害を受け、修理して使用することが不可能または経済的に合理的でない状態を指します。全損と判断されると、保険会社からは修理費ではなく、車の時価額に基づいた保険金が支払われることになります。
全損の判断は保険会社の損害査定士によって行われ、車の損傷状態や修理費用の見積もりなどが総合的に評価されます。全損には大きく分けて「物理的全損」と「経済的全損」の2種類があり、それぞれで対応方法が異なります。
物理的全損の定義と条件
物理的全損とは、事故や災害により車両が著しく損傷し、物理的に修理が不可能な状態、または修理しても安全性が確保できない状態を指します。一般的に「全損」と言われる場合、多くはこの物理的全損を指していることが多いでしょう。
物理的全損と判断される主な条件は以下の通りです。
- 車体の大部分が破損しており、修復が技術的に不可能
- フレームやボディに重大な損傷があり、安全性が確保できない
- 火災により車両が焼失している
- 水没によりエンジンや電気系統に致命的なダメージがある
- 盗難され30日以上経過しても発見されない
物理的全損の場合は車両の修復を断念せざるを得ないため、多くの場合は解体処分となります。保険会社は車両の時価額に基づいた保険金を支払い、所有者は新しい車を購入することになるでしょう。
経済的全損の定義と条件
経済的全損とは、技術的には修理可能だが、修理費用が車両の時価額を超えてしまう状態を指します。つまり、お金をかければ修理できるものの、経済的な観点から見ると修理するよりも新しい車を購入した方が合理的と判断される状況です。
経済的全損と判断される主な条件は次の通りです。
- 修理費用が車両の時価額を超える
- 修理費用が車両の時価額の50〜80%を超え、保険会社が全損処理を提案する
- 修理により車両の価値が大きく下がる重大な損傷がある
例えば、時価額が50万円の車に対して修理費用が60万円かかる場合、経済的全損と判断されることが多いです。この場合、保険会社は修理費用ではなく車両の時価額(50万円)を保険金として支払います。
経済的全損の場合でも車両を修理して使い続けることは技術的には可能ですが、その場合は時価額を超える修理費用の差額を自己負担する必要があります。多くの所有者は、保険金を受け取って新しい車を購入する選択をします。
全損と判断される具体的な状況
全損と判断される具体的な状況にはどのようなものがあるのでしょうか。実際の事例を見ていきましょう。
- 大規模な自然災害(津波、洪水、地震など)による車両の水没や埋没
- 正面衝突や側面衝突などの大きな事故でフレームが変形した場合
- 車両火災によりボディやエンジンルームが焼損した場合
- 複数箇所に及ぶ大規模な損傷(屋根、ドア、フロントなど)
- エアバッグが作動するような大きな衝撃を受けた場合
特に車齢が高い車両は、軽度な事故でも経済的全損と判断されることがあります。例えば、10年以上経過した車両では時価額が大きく下がっているため、バンパーやドア数枚の交換が必要な程度の事故でも修理費用が時価額を超えることがあるのです。
車両の状態や年式によって全損の判断基準は大きく変わるため、同じような事故状況でも車両によって全損と判断されるかどうかは異なります。保険会社の損害査定士による正確な査定が重要になります。
全損時の保険対応
全損と判断された場合、保険はどのように対応可能なのでしょうか。保険金の計算方法や支払いの流れについて解説します。
車両保険での補償内容
車両保険に加入していれば、全損時には車両の時価額を基準とした保険金が支払われます。時価額とは、同じ年式・同じ車種・同じ程度の車両を購入するのにかかる金額で、新車価格から経年劣化や走行距離による価値の減少を差し引いた金額です。
車両保険における全損時の補償内容は次の通りです。
- 物理的全損の場合:車両の時価額が支払われる
- 経済的全損の場合:車両の時価額が支払われる(修理費用ではない)
- 盗難による全損の場合:発見されなければ30日経過後に車両の時価額が支払われる
なお、車両保険には「一般条件」と「限定条件」があり、限定条件では台風や洪水などの自然災害による全損がカバーされないケースがあるため注意が必要です。また、地震・噴火・津波による損害は通常の車両保険では補償されず、別途「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」に加入している必要があります。
保険金額は車両の実際の価値である時価額に基づいて計算されるため、新車で購入した当初の価格より大幅に少ない金額になることがほとんどです。特に購入から年数が経過した車両では、支払われる保険金と同等の車を購入するのが難しい場合もあります。
新車特約と車両全損修理時特約
通常の車両保険では時価額しか補償されませんが、特約をつけることでより手厚い補償を受けることができます。全損時に特に役立つ特約には以下のようなものがあります。
特約名 | 補償内容 | 対象条件 |
---|---|---|
新車特約 | 全損時に同一の新車を購入する費用が補償される | 通常は購入から1〜3年以内の車両が対象 |
車両全損修理時特約 | 経済的全損の場合に、時価額を超える修理費用も補償される | 保険会社によって上限金額が設定されている |
地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約 | 地震等による全損時に一定金額が支払われる | 通常の車両保険では補償されない地震等の損害に対応 |
これらの特約は通常の車両保険に比べて保険料が高くなりますが、新車や高価な車両の所有者にとっては大きなメリットとなります。特に新車特約は、購入してから間もない車が全損になった場合、時価額ではなく新車購入費用が補償されるため、同じ車種の新車を購入することができます。
特約の種類や内容は保険会社によって異なるため、契約時に詳細を確認しておくことが重要です。また、特約の適用条件や補償上限額についても把握しておくことで、万一の際に適切な対応ができます。
相手がいる事故(もらい事故)の場合の補償
自分に過失がない「もらい事故」で車が全損になった場合は、相手の任意保険または自賠責保険から補償を受けることになります。この場合、次のような補償内容が認められます。
- 相手の任意保険に対物賠償保険がある場合:車両の時価額が補償される
- 相手が任意保険に未加入の場合:自賠責保険からの補償は限定的(現在は上限額が120万円)
- 相手が無保険の場合:民事訴訟などの法的手段で損害賠償を求める必要がある
もらい事故で全損となった場合、相手の保険会社から支払われる金額は車両の時価額が基準となります。ただし、代車費用や買い替えにかかる諸費用(登録費用、税金など)も請求できる場合があります。
なお、もらい事故であっても、自分の車両保険を使用することもできますが、その場合は等級が下がるデメリットがあります。相手の保険で十分な補償が受けられる場合は、相手の保険を利用する方が有利なケースが多いでしょう。
相手の保険会社と直接交渉するのは困難な場合が多いため、自分の保険会社に相談しながら進めることをおすすめします。また、事故証明書の取得や修理見積もりの取得など、必要な証拠を揃えておくことも重要です。
全損時の手続きの流れ
車が全損となった場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。保険会社への連絡から保険金受け取りまでの流れを解説します。
事故直後にすべきこと
事故で車が大きく損傷した場合、次の対応を行うことが大切になります。
- 負傷者がいる場合は救護し、必要に応じて救急車を呼ぶ(119番)
- 二次災害防止のための安全措置を取る(ハザードランプをつける、三角停止板を設置するなど)
- 警察に連絡する(110番)※事故証明書の発行に必要
- 相手がいる事故の場合は、相手の連絡先や保険情報を確認する
- 可能であれば事故現場や車両の損傷状態を写真に撮っておく
- 自分の加入している保険会社に連絡する
特に保険会社への連絡は速やかに行うことが重要です。多くの保険会社は24時間体制でロードサービスや事故受付を行っているため、夜間や休日でも連絡することができます。
事故状況や車両の損傷を記録しておくことが後の保険手続きをスムーズにするため、可能な限り多くの写真を撮影しておくことをおすすめします。車両の外観だけでなく、内部の損傷や事故現場の状況なども記録しておくと良いでしょう。
保険会社への連絡と査定の流れ
保険会社に事故の連絡をすると、以下の流れで査定と手続きが進みます。
- 保険会社の指示に従い、車両を指定の修理工場や査定場所に移動させる
- 保険会社の損害査定士が車両の損傷状態を確認する
- 修理工場から修理見積もりを取得する
- 損害査定士が車両の時価額と修理見積額を比較し、全損かどうかを判断する
- 全損と判断された場合、保険会社から所有者に全損処理の提案がある
- 所有者が全損処理に同意すれば、必要書類の提出などの手続きが始まる
損害査定士の査定結果に納得できない場合は異議を申し立てることができるため、必要に応じて別の修理工場からも見積もりを取得するなど、自分で情報を集めておくことも重要です。あらかじめ書類を準備し、特に車両の時価額については、中古車市場の相場などを自分でも調べておくと良いでしょう。
必要な書類と保険金請求の手続き
全損と判断された場合、保険金を請求するために以下の書類が必要になります。
必要書類 | 入手方法・注意点 |
---|---|
保険金請求書 | 保険会社から提供される |
事故証明書 | 警察署で発行してもらう(事故から1か月以内が望ましい) |
自動車検査証(車検証) | 所有者が保管しているもの |
自賠責保険証明書 | 所有者が保管しているもの |
印鑑登録証明書 | 市区町村の役所で取得(発行から3か月以内のもの) |
譲渡証明書 | 保険会社から提供される(全損車両を保険会社に譲渡する場合) |
委任状 | 保険会社から提供される(車両の処分を保険会社に委任する場合) |
これらの書類を揃えて保険会社に提出すると、審査の後に保険金が支払われます。保険金の支払いは通常、必要書類がすべて揃ってから1〜2週間程度かかります。
書類に不備があると保険金の支払いが遅れる原因になるため、保険会社の指示に従って正確に書類を作成・提出することが重要です。不明な点がある場合は、担当者に確認しながら進めましょう。
全損車両の処分方法
全損と認定された車両は、以下のいずれかの方法で処分されます。
- 保険会社への譲渡:保険金を受け取る代わりに車両の所有権を保険会社に移転する
- 自分で処分:保険金を受け取った後、自分で解体業者に依頼して処分する
- 買取業者への売却:全損車専門の買取業者に売却する
- 修理して使用:経済的全損の場合、自己負担で修理して使用を続ける
多くの場合、保険会社への譲渡が選択されます。この場合、車両の所有権は保険会社に移り、その後は保険会社が業者を通じて解体や部品取りなどの処分を行います。
全損車両を自分で処分する場合は、以下の手続きが必要です。
- 解体業者(自動車リサイクル法に基づく許可業者)に依頼する
- 解体業者から「引取証明書」を受け取る
- 運輸支局で「抹消登録」の手続きを行う
- 自動車税の還付手続きを行う(月割りで還付される)
全損車両であっても法的に正しい手続きで処分することが重要です。不適切な処分を行うと、自動車税の二重払いや不法投棄の責任を問われるリスクがあります。特に解体業者の選定は、自動車リサイクル法に基づく許可を持つ業者を選ぶようにしましょう。
全損認定後の選択肢と対応
全損認定を受けた後、車の所有者にはいくつかの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、最適な選択をしましょう。
保険金を受け取り新車を購入する
全損車の所有者が最も多く選択するのが、保険金を受け取って新しい車を購入するという方法です。この選択肢のメリットとデメリットを見ていきましょう。
【メリット】
- 新しい車は安全性や燃費性能が向上している
- 故障リスクが低く、メンテナンス費用を抑えられる
- 新車保証が付くため、しばらくは大きな出費が発生しにくい
- 最新の装備や機能を楽しめる
【デメリット】
- 保険金だけでは新車購入資金が足りないことが多い
- 新たにローンを組む必要がある場合がある
- 新車は購入後の価値下落(減価償却)が大きい
- 車両保険料が高くなる傾向がある
保険金額は車両の時価額に基づくため、同じグレードの新車を購入する場合は自己負担が必要になることがほとんどです。ただし、新車特約に加入していた場合は、同等の新車購入費用が補償されるため、大きな自己負担なく新車を購入できる可能性があります。
保険金の使い道は車の購入に限定されるわけではないため、ライフスタイルの変化に合わせて車の所有自体を見直す機会と捉えることもできます。例えば、カーシェアリングやレンタカーの利用に切り替えるという選択肢もあります。
中古車を購入する
保険金で新車を購入するのが難しい場合、中古車を購入するという選択肢もあります。この場合の選択肢にもメリットとデメリットが存在します。
【メリット】
- 新車に比べて購入費用を抑えられる
- 保険金の範囲内で購入できる可能性が高い
- 年式の新しい中古車なら性能面でも満足できる
- 新車などの大きな価値下落がない
【デメリット】
- 前オーナーの使用状況や整備状態が不明な場合がある
- 新車より故障リスクが高い
- 保証内容が限定的または短期間の場合が多い
- 好みの色やグレード、オプションの車を見つけるのが難しい場合がある
中古車購入の際は、信頼できるディーラーや中古車販売店を選び、車両状態や走行距離、修復歴などをしっかり確認することが重要です。また、中古車保証がついているかどうかも購入判断の重要なポイントとなります。
中古車選びでは車両の状態チェックが非常に重要です。可能であれば第三者機関による車両検査を受けた車両を選ぶか、専門知識を持つ人に同行してもらうと安心です。また、車両の修理履歴や点検記録が残っている車両は信頼性が高いと言えるでしょう。
経済的全損車を修理して使用する
経済的全損と判断された車両は、技術的には修理可能です。保険金を受け取った上で、自己負担で修理して使い続けるという選択肢もあります。メリットとデメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 愛着のある車を手放さずに済む
- カスタマイズやオプションなど、車の個性を残せる
- 新車購入時のような初期費用(登録費用や税金など)が不要
- 車両の特性や不具合を熟知しているため、安心して乗れる
【デメリット】
- 修理費用が時価額を超えるため、経済的には合理的でない
- 事故歴が付くため、将来売却する際の価値が下がる
- 修理後も構造的な問題が残る可能性がある
- 修理工場によっては引き受けを断られることもある
経済的全損車を修理して使用する場合は、保険金として車両の時価額を受け取り、そのお金を修理費用の一部に充てることになります。残りの修理費用は自己負担となるため、経済的な負担は大きくなります。
修理後の安全性や性能に問題がないか専門家に確認することが必須です。特にフレームやボディに大きなダメージがあった車両は、修理後も構造的な弱点が残る可能性があります。安全面を最優先に考え、信頼できる修理工場で適切な修理を行うようにしましょう。
全損車を買取業者に売却する
全損車専門の買取業者に車を売却するという選択肢もあります。この場合のメリットとデメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 保険金に加えて買取金額も受け取れる
- 車両の処分手続きを買取業者が代行してくれる
- 物理的全損車でも価値があると判断されれば買取してもらえる
- 解体費用を負担せずに済む
【デメリット】
- 買取金額は一般的に低い(状態によっては数万円程度)
- 物理的全損の場合、買取を断られることもある
- 買取業者によっては悪質な業者も存在する
- 保険会社への譲渡より手続きが複雑になる場合がある
全損車買取業者は、車両から使える部品を取り出して販売したり、修理して海外に輸出したりすることでビジネスを展開しています。そのため、一見価値がないように見える全損車でも、部品やリサイクル資源としての価値があれば買取対象となります。
複数の買取業者から見積もりを取ることで最適な売却先を見つけられるため、一社だけでなく複数の業者に査定を依頼することをおすすめします。また、買取業者を選ぶ際は、古物商許可を持っている業者か、口コミや評判をチェックするなど、信頼性を確認することが重要です。
全損に関するよくある質問
最後に、全損に関して車の所有者がよく感じる疑問について解説します。
全損時の自動車税や自賠責保険はどうなる?
全損となった車両の自動車税や自賠責保険料については、以下のように処理されます。
自動車税について:
- 自動車税は1年分を前払いする税金のため、廃車手続きをすると月割りで還付を受けられる
- 還付の手続きは車両の登録抹消後、各都道府県の税事務所で行う
- 軽自動車の場合は軽自動車税が対象となるが、原則として還付はなく、翌年度からの課税がなくなる
自賠責保険について:
- 未経過期間分の保険料が返還される(解約返戻金)
- 返還手続きは、廃車手続き時に自賠責保険証明書を返納することで行われる
- 返還額は、残りの保険期間と保険料に基づいて計算される
これらの手続きは保険会社が代行してくれる場合もありますが、自分で行う場合は車両の抹消登録手続きと合わせて進めることになります。
税金や保険料の還付手続きを忘れずに行うことで無駄な支出を防げるため、全損処理の際には必ず確認しておきましょう。特に自動車税は金額が大きいため、還付手続きを怠ると経済的な損失となります。
全損と修理不能の違いは?
「全損」と「修理不能」は似ているようで異なる概念です。両者の違いを明確にしておきましょう。
全損 | 修理不能 |
---|---|
保険用語で、物理的全損と経済的全損の両方を含む | 技術的に修理できない状態のみを指す(物理的全損に近い概念) |
経済的全損の場合、技術的には修理可能 | いかなる技術や費用をかけても修復できない状態 |
保険金支払いの判断基準として使用される | 車検や整備の現場で使われることが多い |
つまり、「修理不能」は物理的全損の一部と言えますが、経済的全損の車両は修理不能ではありません。経済的全損と判断された車両は、技術的には修理可能ですが、費用対効果の観点から修理が合理的でないと判断されるケースです。
全損は保険の補償範囲に関わる経済的な概念も含むため、車両の物理的状態だけでなく、時価額や修理費用の比較も考慮した総合的な判断となります。一方、修理不能は純粋に技術的な観点からの判断です。
車両保険未加入の場合の全損対応は?
車両保険に加入していない場合の全損対応は、事故の状況によって大きく異なります。主なケースと対応方法は以下の通りです。
相手がいる事故(過失割合による):
- 自分の過失が少ない場合(例:相手が10、自分が0):相手の任意保険から補償を受けられる
- 双方に過失がある場合(例:相手が7、自分が3):相手の保険から過失割合に応じた補償を受ける
- 自分の過失が大きい場合:相手の車両修理費は支払う必要があるが、自分の車の修理費は自己負担
単独事故の場合:
- 基本的にすべて自己負担となる
- 自損事故傷害保険に加入していれば、人身傷害は補償されるが車両は対象外になる
- ディーラーの保証やメーカー保証の対象となるケースは極めて稀である
車両保険未加入の状態で全損事故に遭うと、経済的な負担が大きくなるリスクがあります。特に車を購入したばかりでローンが残っている場合は、車両が全損になってもローンの支払い義務は残るため、二重の負担となる可能性があります。
車両保険の加入を検討する際は全損リスクも考慮することが重要です。特に新車や高価な車を所有している場合、または自然災害が多い地域に住んでいる場合は、車両保険への加入を検討する価値があります。
ローン残債がある全損車の対応方法
車のローンが残っている状態で全損となった場合、特別な対応が必要になります。主な対応方法は以下の通りです。
基本的な対応の流れ:
- 保険会社から支払われる保険金をローン返済に充てる
- 保険金でローンが完済できない場合は、残りを分割払いで返済し続けるか一括返済する
- 新たな車を購入する場合は、新規のローンを組む必要がある
ローン残債がある全損車の対応では、以下の特約が役立つ場合があります。
特約名 | 内容 |
---|---|
車両価額協定保険特約 | 契約時に車両保険金額を協定し、その金額が支払われる(一般的に標準で付帯) |
車両全損時諸費用特約 | 全損時に臨時費用として一定金額が上乗せされる |
新車特約 | 新車登録から一定期間内の車が全損した場合、新車購入費用が支払われる |
GAP特約 | ローン残高と車両保険金の差額を補償する特約(一部の保険会社で提供) |
特に重要なのがGAP特約で、これはローン残高と保険金の差額を補償する特約です。新車購入時は特に車の価値下落が大きいため、事故で全損となった場合にローン残高が保険金を上回るケースが多くあります。
ローン中の車には適切な車両保険と特約の付加が重要です。特に新車購入時は、新車特約やGAP特約の付加を検討することで、万が一の全損時の経済的負担を軽減できます。ローンが残っている車を所有している方は、現在の保険内容を確認し、必要に応じて見直すことをおすすめします。
まとめ
全損と判断されると、通常は車両の時価額に基づいた保険金が支払われ、車両は処分または解体されることになります。
全損時の対応では、保険会社への速やかな連絡と適切な手続きが重要です。必要書類を揃え、保険金請求の手続きを行うことで、経済的損失を最小限に抑えることができます。また、新車特約やGAP特約などの特約に加入していれば、より手厚い補償を受けることも可能です。
全損後の選択肢としては、保険金を活用して新車や中古車を購入する、経済的全損車を修理して使用する、買取業者に売却するなどがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の状況に最適な選択をすることが大切です。

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