
バッテリー上がりのときに慌てず対処するには、ブースターケーブルの正しい繋ぎ方と順番を知っておくことが重要です。この記事では、赤(+)黒(−)ケーブルの安全な接続・取り外し手順と、失敗しないための注意点をやさしく解説します。正しい手順を理解しておけば、もしものバッテリー上がりでも落ち着いて対処できるようになります。
バッテリー上がりは「安全確保→正しい接続方法→始動後の点検」が最短ルート
結論:バッテリー上がりが発生した際、最も迅速かつ安全にトラブルを解決するルートは、まず周囲の安全を確保し、次に正しい接続方法の手順(接続順・取り外し順)を守って救援車から電力を借り、最後に始動後の点検と再発防止を行うことです。
理由:バッテリー上がりの際、正しい手順を知らずにブースターケーブルを繋ぐと、ショート(短絡)や逆極性接続(プラスとマイナスを間違えること)により、車載コンピューター(ECU)や電装品が損傷したり、火花や爆発を引き起こしたりする危険性があるからです。このトラブルは電気まわりの故障なので、「どこからどこへ電気を流すか」という順番の理解が重要です。特に火花(スパーク)が出やすいマイナス側の最後の繋ぎ方に細心の注意を払うことが、人命と車両保護の最優先事項です。
具体例:例えば、ケーブルの接続順序を間違えて、故障車(バッテリーが上がった車)のマイナス端子に直接、黒いケーブルを繋いでしまうと、接続の瞬間に火花が飛び、バッテリー内部から発生している水素ガスに引火してバッテリーが爆発する危険があります。正しい接続方法では、このバッテリー上がりによる危険を避けるために、黒いケーブルの最終接続先を「故障車の未塗装金属部」にする鉄則があります。この繋ぎ方のルールを守ることが、安全なバッテリー上がり対処の基本中の基本です。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの対処では、安全な繋ぎ方の「順番」こそが、時間短縮と事故防止の鍵となります。
バッテリー上がり時の初動の安全|車の寄せ方・ハザード・三角表示板・乗員退避
結論:バッテリー上がりで車が動かなくなってしまったら、人命の安全確保を最優先し、作業開始前に、可能な限り安全な場所に車を寄せ、周囲に危険を知らせ、乗員を避難させることが最初のステップです。特にバッテリー上がりの対処は、停車作業を伴うため、二次的な交通事故を防ぐことが極めて重要です。
理由:路上や高速道路での停車は、後続車との衝突事故を引き起こす重大な危険を伴います。バッテリー上がりでエンジンが停止している状態でも、ハザードランプや三角表示板などを使って自車の存在を明確に知らせ、運転者以外の乗員は安全な場所に避難させる必要があります。
具体例:バッテリー上がりで停止した場合、可能であれば路肩の左側に車を寄せ、ハザードランプを点灯させます。昼夜や天候にかかわらず、後続車から見える位置に三角表示板や発炎筒を設置します。特に高速道路上では、速やかに車外へ避難し、ガードレールの外側など、安全な場所からロードサービスへ連絡することが推奨されます。一般道の場合でも、後続車に追突されるおそれがある場所では、車内で待機せず、安全な場所に避難することが基本です。
ひとことまとめ:バッテリー上がりを直すための繋ぎ方を始めるのは、安全確保が完了した後です。
高速道路や深夜・連休中にトラブルになった場合の、ロードサービス料金や割増の仕組み、依頼時のコツについては、「もしもの時に損をしない!ロードサービス料金はいくらかかる?深夜・高速・連休の割増と賢い依頼方法」で詳しく解説しています。
バッテリー上がり対処前の事前チェック|取扱説明書・12V確認・EV/HVは高電圧に触れない
結論:バッテリー上がりに対処する前に、必ず「故障車の取扱説明書」を確認し、救援車と故障車が同じ「12V(ボルト)」仕様であるかを確認します。特にハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の場合は、高電圧部品に触れないよう細心の注意が必要です。
理由:異なる電圧の車(例えば12Vと24V)同士を繋ぐと、電装品がショートし、重大な損傷を負う可能性があります。また、EVやHV車には、駆動用の高電圧バッテリー(数百V)が存在し、これに誤って触れると感電死の危険があるため、バッテリー上がりで救援する際は、絶対にオレンジ色の高電圧配線やサービスプラグ(整備用の端子)には触れてはいけません。ブースターケーブルを繋ぐのは、通常の12V補機バッテリーに対してのみです。
具体例
- 電圧確認: 一般的なガソリン車やディーゼル車は12Vですが、トラックなど一部の大型車は24Vの可能性があります。必ず救援車と故障車が同じ電圧であることを確認してください。
- EV/HVの注意点: 多くのEV/HV車では、12Vの補機バッテリーはトランク内や後部座席下など、エンジンルーム外にあることが多いです。また、車種によっては、エンジンルーム内に接続用のプラス端子(+)が用意されている場合もあります。ブースターケーブルの繋ぎ方を始める前に、必ず取扱説明書で12Vバッテリーの搭載位置と、正しい接続位置を確認してください。
- 高電圧部品の回避: バッテリー上がりの処置では、オレンジ色の配線には絶対に触れない、というルールを徹底してください。これは高電圧が流れていることを示しています。
ひとことまとめ:事前確認なしの繋ぎ方はバッテリー上がり以上に危険な事態を招きます。安全確認と取扱説明書が最重要です。取扱説明書に「ブースターケーブルを使用した始動は禁止」などの記載がある車種では、自力での作業は行わず、ディーラーやロードサービスに任せてください。
「どこまで無料か」「等級や免責に影響するのか」といった保険とロードサービスの関係は、「ロードサービスと保険の関係を解説|等級・免責・利用回数の影響は?」で整理しておくと安心です。
ケーブルの基礎知識:赤(+)黒(−)の役割と太さ・長さの目安
結論:ブースターケーブルは、電気を伝えるための重要な道具であり、赤いケーブルはプラス(+)、黒いケーブルはマイナス(−)の役割を持ちます。この色と役割を正確に理解し、適切な規格のケーブルを使用することが、安全なバッテリー上がり対処の第一歩です。
理由:ケーブルの色は極性を区別するための国際的なルールです。これを間違えて逆極性接続を行うと、車両の電装品やコンピューター(ECU)に重大な損傷を与えたり、バッテリーが過熱・爆発したりする原因になります。
具体例
-
ケーブルの色と役割:
・赤(レッド)ケーブル:プラス(+)端子専用。電力を送る役割を持ちます。
・黒(ブラック)ケーブル:マイナス(−)端子または未塗装金属部(アース)専用。回路を閉じる役割を持ちます。 -
ケーブルの太さ・長さの目安:
・太さ:太い方が抵抗が少なく、効率よく電力を送れます。特に排気量が大きいディーゼル車(バッテリー上がりが重症になりやすい)を救援する場合は、太いケーブル(断面積が太い芯線)が必要です。安価な細いケーブルは、電力を伝える途中で過熱し、焼けてしまう危険性があります。
・長さ:救援車を横付けできない場合を考慮し、最低でも3メートル、できれば5メートル程度の長さがあると便利です。ただし、長すぎるとケーブルが地面に接触しやすくなったり、ロスが大きくなったりする場合もあるため、繋ぎ方の作業スペースに合わせて選びましょう。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの繋ぎ方では、「赤がプラス、黒がマイナス」の鉄則を絶対に守り、細すぎるケーブルは使わないように注意しましょう。
バッテリー上がり時の正しい繋ぎ方|ブースターケーブル接続の順番の鉄則
結論:ブースターケーブルの接続は、プラス(+)端子から繋ぎ始め、マイナス(−)端子の接続は故障車の未塗装金属部に繋ぐという「繋ぎ方の鉄則」があります。この順番は、火花発生のリスクを最小限にするために定められています。
理由:バッテリー上がりが発生したバッテリーからは、可燃性の水素ガスが発生している場合があります。この水素ガスは、接続時に火花が飛ぶと引火・爆発する危険性があるため、火花が飛びやすい最後の接続を、バッテリーから最も離れた安全な場所(未塗装の金属部)で行う必要があります。
具体的な繋ぎ方の順番(接続順)
以下の順番で、合計4箇所に確実にクリップを噛ませてください。すべての電装品がOFFになっていることを確認しましょう。
- 故障車(+): 赤いケーブルのクリップを、バッテリーが上がった故障車のプラス(+)端子に確実に接続します。
- 救援車(+): 赤いケーブルのもう一方のクリップを、救援車のプラス(+)端子に接続します。
- 救援車(−): 黒いケーブルのクリップを、救援車のマイナス(−)端子に接続します。
- 故障車(金属部/エンジンブロック): 黒いケーブルの最後のクリップを、バッテリーが上がった故障車の未塗装の金属部分(エンジンブロックやボディの頑丈な部分)に接続します。
注意点
- バッテリーのマイナス端子には絶対に繋がないでください。(前述の通り、火花による爆発のリスクがあるためです)。
- 繋ぎ方の順番を間違えないよう、一箇所ずつ+(プラス)と−(マイナス)、車名を声に出して確認しながら作業しましょう。
- ブースターケーブルのクリップは、外れないように確実に取り付けましょう。接続不良は、電力供給の失敗や、スパークの原因となります。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの繋ぎ方は、「プラスから繋ぎ始め、マイナスは離れた金属部へ」が鉄則です。
ブースターケーブルの外し方|外す順番(逆手順)と火花・逆接の回避
結論:ブースターケーブルを外す際は、接続手順とは完全に逆の順番で、最後にプラス(+)端子のクリップを外すのが鉄則です。この逆手順を踏むことで、火花の発生とショート(短絡)のリスクを最小限に抑えます。
理由:エンジン始動後(ジャンピングスタート成功後)、ケーブルが車体金属部や電装品に触れてしまうことによるショートが最も危険です。接続時と同様に、火花が発生するリスクが高いマイナス側から先に外し、通電しているプラス側が宙ぶらりんにならないようにするのが安全な繋ぎ方の基本です。
具体的な外す順番(取り外し順)
- 故障車(金属部/エンジンブロック): 黒いケーブルのクリップを、故障車の未塗装金属部から外します。
- 救援車(−): 黒いケーブルのクリップを、救援車のマイナス(−)端子から外します。
- 救援車(+): 赤いケーブルのクリップを、救援車のプラス(+)端子から外します。
- 故障車(+): 最後に赤いケーブルのクリップを、故障車のプラス(+)端子から外します。
繋ぎ方/外す手順の注意点
- ケーブルの取り扱いは慎重に: ケーブルを外した後、金属製のクリップ部分が他の金属部分に触れてショートさせないよう、クリップ同士や車体に触れないように十分注意しましょう。特に、ケーブルの重さで引っ張られたりしてクリップが外れることがあるため、最後まで慎重に作業を続けます。
- 逆接の回避: ブースターケーブルを接続する前に、必ずバッテリー端子の+(プラス)と−(マイナス)の表示を確認し、逆接続(逆極性)を避けることが、車両のコンピューターや電装品の損傷を防ぐ上で最も重要です。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの対処において、外す手順は「接続の逆順」を徹底し、特に黒いケーブルから先に外すことで、火花やショートの危険を遠ざけましょう。
始動のコツと失敗例:回転数の目安・待ち時間・セル連打NG
結論:正しい繋ぎ方でブースターケーブルを接続した後、すぐにエンジンをかけるのではなく、救援車側でしっかりと充電を補助し、適切なタイミングで故障車の始動を試みることが、失敗しないコツです。
理由:バッテリー上がりを起こした車は、バッテリーが完全に放電している可能性があります。救援車から繋いだ直後では、電力が不十分で再始動できないことが多いため、数分間の充電時間が必要です。また、無理なセル(スターターモーター)の連続使用は、スターターモーター自体を損傷させる原因となります。
具体的な手順とコツ
- 充電時間の確保(数分待つ): 救援車のエンジンをかけ、アクセルペダルを軽く踏み込み、エンジン回転数を2000〜3000rpm程度に保ちます。この状態で3〜5分間待ち、故障車のバッテリーに電力を少し送ります。これでバッテリー上がりが軽度であれば、すぐに再始動の準備が整います。
- 故障車の始動: 故障車側のキーを回し、エンジンを始動します。この際、始動の音(セルモーターが回る音)が弱い場合は、すぐに再チャレンジせず、さらに数分間、救援車からの充電を続けてから再挑戦します。
- セル連打は避ける: エンジンがかからなかった場合、間髪入れずにセルを回し続ける(セル連打)のはやめましょう。スターターモーターの焼き付きを防ぐため、2〜3回試して始動しない場合は、バッテリー上がり以外の原因や、充電不足の可能性が高いと考え、一旦中止して点検するか、プロに連絡しましょう。
失敗例
- 即座に始動: ケーブルを繋いですぐにキーを回したが、エンジンがかからなかった。→充電が不十分でバッテリー上がりが回復しきっていない可能性が高いです。
- セル連打: 何度もキーを回し続けたため、「カチカチ」という音がするだけでセルが回らなくなった。→スターターモーターやギア(歯車)の焼き付き、またはバッテリー上がりが重症化しすぎて、始動に必要な電力が全く供給できていない状態です。
ひとことまとめ:バッテリー上がりからの再始動は、焦らず、数分間の充電時間を確保してから試すのが成功の秘訣です。
よくあるNG行為10選:バッテリー上がりの対処で避けるべきこと
結論:バッテリー上がりの対処時に、誤った繋ぎ方や危険な作業を行うと、車両の損傷だけでなく、火災や爆発の危険を伴います。ここでは特に避けるべきNG行為とその代替策をまとめます。
理由:特に多いトラブルは逆極性接続やショートです。最近の車は電子制御部品(ECU)が多く、瞬間的な高電圧や逆電流によって簡単に故障し、高額な修理費用が発生する可能性があります。
| NG行為 | 何が危険か | 代わりにどうする |
|---|---|---|
| 逆極性接続(プラスとマイナスを逆に繋ぐ) | ECU損傷・電装品焼損・発火 | クランプ前に+(プラス)と−(マイナス)を声出し確認する。 |
| 故障車のマイナス端子に直接繋ぐ | 接続時の火花による水素ガス爆発 | 黒いケーブルは故障車の未塗装金属部(エンジンブロックなど)に繋ぐ。 |
| 割れ・膨張したバッテリーに充電 | バッテリー液漏れ、爆発の危険 | 直ちにプロ要請。近寄らない。 |
| セル連打を繰り返す | スターターモーターの焼き付き | 2〜3回で打ち切り、数分充電してから再試行、または点検。 |
| 異なる電圧の車同士で繋ぐ | 車両の電装品のショート・焼損 | 必ず12V同士であることを確認し、繋ぎ方を始める前に取扱説明書で確認する。 |
| 救援車のエンジンを停止したまま繋ぐ | 救援車のバッテリー上がり | 救援車のエンジンをかけたまま、2000〜3000rpmを維持して充電補助を行う。 |
| ケーブルをエンジンルームに挟み込む | ケーブル損傷、ショート、火災 | 接続前にケーブルの通り道を確認し、干渉しない繋ぎ方をする。 |
| ケーブルのクリップが緩いまま始動 | 接触不良によるスパーク(火花)発生 | クリップはバッテリー端子や金属部に確実に固定し、外れないことを確認する。 |
| EV/HVの高電圧部品に触れる | 感電死や高電圧システムの損傷 | オレンジ色の配線には絶対に触れず、取扱説明書で12V補機バッテリーの位置を確認する。 |
| バッテリー上がり後、充電せずにすぐにエンジンを停止する | 再発 | 始動後は最低でも20〜30分以上走行(充電)を続ける。 |
ひとことまとめ:バッテリー上がりの繋ぎ方では、NG行為を事前に知り、安全な繋ぎ方の鉄則を守ることが、大きな事故や高額な修理代を防ぎます。
プロのロードサービスが現場で「これは絶対にやってほしくない」と考えているポイントは、「ロードサービスのバッテリー上がり対応でやってはいけない10のこと」でも、事例付きで詳しく紹介しています。
バッテリー上がり後の点検|充電警告灯・電圧の一般目安・再発防止の小ワザ
結論:ジャンピングスタートを行った後も、すぐにバッテリー上がりが再発しないよう、充電システムが正常に機能しているか、警告灯や電圧の目安を参考に必ず確認することが必要です。
理由:バッテリー上がりは、単なるライトの消し忘れだけでなく、発電機(オルタネーター)や電装品、配線など、充電システム全体の故障が原因である場合もあります。始動後に充電が行われていなければ、すぐにバッテリー上がりが再発し、走行不能に陥るからです。
具体的な点検手順
- ケーブルの取り外し: まず、6章の「外す順番(逆手順)」に従い、安全にブースターケーブルを取り外します。
- 充電警告灯の確認: エンジン始動後、メーター内の「充電警告灯」(バッテリーのマーク)が点灯または点滅していないか確認します。これが点灯している場合、発電機(オルタネーター)に異常がある可能性が高いです。
- 電圧の確認(テスターがあれば): バッテリーの電圧を測定し、充電状態を確認します。
- 十分な充電時間: 始動後、電装品(ライト、エアコンなど)をすべてOFFにし、最低20〜30分以上(長距離走行が望ましい)エンジンをかけ続ける、または走行して、バッテリーを十分に充電します。短時間のアイドリングや近距離走行では、バッテリー上がりが回復しないことがあります。
| 状態 | 電圧(幅) | 注意点 |
|---|---|---|
| OFF(エンジン停止時) | 12.4〜12.8V | 低すぎなら劣化疑い |
| アイドルON(エンジン始動時) | 13.5〜14.5V | 大幅に低いと発電不良 |
注意点:エンジンが回っていても、15Vを超える場合はオルタネーター(発電機)の異常(過充電)が考えられます。
再発防止の小ワザ
- 定期的な点検: 1年に1回程度、バッテリー液の量や比重をチェックし、電圧を測定するなど、定期的なメンテナンスを心がけることで、突然のバッテリー上がりを防げます。
- 暗電流対策: ドライブレコーダーの常時録画など、駐車中の電力消費が多い場合は、バッテリー上がりを起こしやすい原因となります。機器の設定を見直すか、充電器で定期的に補充電を行うことを検討しましょう。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの応急処置後も、充電警告灯や電圧をチェックし、十分な充電を行うことで、再発防止に努めましょう。
いつプロを呼ぶか:臭い・煙・ケーブル過熱・夜間や雨天・高速道路
結論:バッテリー上がりは自力で対処できる場合もありますが、異臭、発煙、ケーブルの異常加熱、または安全確保が難しい状況(高速道路、悪天候、夜間)では、自力での作業を中止し、すぐにロードサービス(レッカー車など)や整備工場などのプロを呼んでください。人命の安全が最優先です。
理由:異臭(特に酸っぱい刺激臭)や煙が発生している場合、バッテリー内部や電気配線が損傷し、爆発や火災といった重大な二次災害を引き起こす危険性があるためです。また、高速道路や悪天候、夜間など視界が悪い状況下での作業は、二次事故の危険が極めて高くなります。
プロを呼ぶべき状況
-
異臭・発煙:
・酸っぱい刺激臭(硫黄臭)がする:バッテリー液が過充電や過熱により沸騰している可能性があり、爆発の危険があります。
・焦げた臭いがする:電気配線やケーブルがショートして過熱・焼損している可能性があり、火災の危険があります。
・バッテリーやエンジンルームから煙が出ている:直ちに作業を中止し、車から離れて通報してください。 -
ケーブルの異常:
・ブースターケーブルが触れないほど熱くなっている(過熱)。
・ケーブル接続時に大きな火花が継続して飛ぶ(短絡の疑い)。 -
始動不能が続く:
・繋ぎ方を正しく行い、数分充電してもエンジンが始動しない場合。
・セルモーターから「カチカチ」という音しかせず、電力が全く伝わらない状態が続く場合。 -
危険な場所での発生:
・高速道路上、または路肩の幅が狭い場所。
・夜間や大雨・降雪などの悪天候で、視界が悪い状況。
・急な上り坂やカーブの途中など、車を安全に寄せられない場所。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの対処中に、少しでも不安を感じたら、危険なサインを見逃さず、迷わずプロに救援を求めてください。
自力での復旧が難しく、レッカー移動が必要になりそうなときは、「自走不可トラブル時のレッカー移動チェックリスト|準備物と伝えるべき情報」で、電話前に整理しておきたいポイントを確認しておくとスムーズです。
バッテリー上がりでロードサービスを呼ぶときの料金と到着時間の目安
結論:ロードサービスにかかる費用や到着時間は、サービスを提供する会社(保険会社、JAFなど)、契約内容、地域、時間帯(深夜や早朝)、およびトラブルの内容によって幅があります。事前に契約内容を確認しておくことで、バッテリー上がりの急な出費を抑えられる場合があります。
理由:バッテリー上がりの救援は、多くの保険や会員サービスで基本的な無料サービスに含まれていますが、無料の範囲を超えたり、特殊な作業が必要になったりすると費用が発生します。また、到着時間は交通状況や天候、出動拠点の位置に大きく左右されます。
費用の一般レンジ(目安)
| 項目 | 一般レンジ(幅) | 備考 |
|---|---|---|
| 到着時間(一般道) | 30〜90分 | 地域、交通状況、天候により変動 |
| バッテリー上がり救援(基本作業) | 無料〜15,000円程度 | サービス会員や保険契約の有無による |
| 深夜・早朝(割増) | 1.2〜1.5倍 | 割増料金がかかる場合がある |
| レッカー移動費用 | 契約内容による(距離制限) | バッテリー上がり以外の故障の場合 |
ここで挙げている金額や時間はあくまで一般的な目安であり、実際の条件は契約内容や地域によって大きく変わります。
ひとことまとめ:バッテリー上がりの救援を呼ぶ前に、契約書を確認し、無料サービスの範囲内であるか、または概算費用と到着時間を尋ねることで、冷静な対処ができます。
実際にレッカー移動が必要になった場合の料金の考え方や、キャンセル料・待機料で損をしないためのポイントは、「レッカーの値段トラブルを防ぐ契約術|キャンセル料・待機料の基礎知識」で詳しく解説しています。
まとめ&FAQ:バッテリー上がり再発防止チェックリスト
まとめ:バッテリー上がりの「繋ぎ方」は順番厳守!
バッテリー上がりの救援は、正しい接続方法の順番を守ることで、安全かつ確実に行えます。特に火花が飛びやすい最後の接続箇所を故障車のバッテリー端子から離す(未塗装金属部に繋ぐ)というルールは、爆発の危険を避けるための最重要事項です。
バッテリー上がりの応急処置後も、十分な走行による充電を行い、再発防止のために定期的なメンテナンスを心がけましょう。もし、繋ぎ方の作業中に少しでも不安や異常を感じた場合は、速やかにプロのロードサービスを頼ってください。
FAQ(よくある質問)
Q1.なぜ、黒いケーブルをバッテリー上がりのマイナス端子に直接繋いではいけないのですか?
A1.バッテリー上がりのバッテリーからは、引火性のある水素ガスが発生している可能性があり、接続時に発生する火花(スパーク)が引火すると、バッテリーが爆発する危険があるためです。そのため、火花を発生させやすい最後の接続は、バッテリーから離れた故障車の未塗装金属部(エンジンブロックなど)で行うことが正しい繋ぎ方の鉄則です。
Q2.バッテリー上がりを起こした車を救援後、どのくらい走れば大丈夫ですか?
A2.バッテリー上がりの程度にもよりますが、エンジン始動後、ヘッドライトなどの電装品をOFFにした状態で、最低20〜30分以上走行(またはエンジンをかけ続ける)して充電をしてください。短時間の走行では十分な充電(バッテリー上がりの回復)ができず、すぐに再発する可能性があります。
Q3.救援車と故障車がHV車(ハイブリッド車)の場合、繋ぎ方は同じですか?
A3.基本的な繋ぎ方の順番(プラス→プラス、マイナス→マイナス/金属部)は同じですが、EV/HV車は駆動用に高電圧バッテリーを搭載しており、感電の危険があるため、オレンジ色の高電圧配線やサービスプラグには絶対に触れないでください。必ず取扱説明書で指定されている12V補機バッテリー(多くはトランク内などにある)の接続位置を確認してから、繋ぎ方の作業を始めてください。
Q4.バッテリー上がりを防ぐには、どのような対策がありますか?
A4.最も多い原因は、ライトの消し忘れや長期間の不使用です。対策として、定期的な点検(バッテリー液のチェック、電圧測定)に加え、駐車中に電力を消費するアクセサリー(ドラレコ常時録画など)を使用している場合は、定期的に補充電を行うか、アイドリングストップ機能が作動する設定にするなど、電力消費に注意してください。
Q5.実際に逆極性でつないでしまった可能性がある場合は、どうなりますか?
A5.逆極性接続は、車両の電子制御ユニット(ECU)や電装品に過大な電流が流れ、損傷したり焼損したりする非常に危険な行為です。最悪の場合、火災や爆発につながるため、異臭や煙が出た場合は、すぐにプロに連絡し、自力での対処は中止してください。
安全・接続順・取り外し順チェックリスト
安全・事前チェック
- □ 安全な場所に停車し、ハザードと三角表示板を設置した。
- □ 故障車、救援車の電装品はすべてOFFになっている。
- □ 救援車と故障車が同じ電圧(12V)であることを確認した。
- □ EV/HV車の場合は、12V補機バッテリー接続位置とオレンジ配線を避けることを確認した。
正しい繋ぎ方(接続順)
- □ 1番:赤ケーブル(+)を故障車のプラス端子へ。
- □ 2番:赤ケーブル(+)を救援車のプラス端子へ。
- □ 3番:黒ケーブル(−)を救援車のマイナス端子へ。
- □ 4番:黒ケーブル(−)を故障車の未塗装金属部へ(バッテリーのマイナス端子ではない)。
始動と取り外し順(逆順)
- □ 救援車のエンジンをかけ、2000〜3000rpmで数分間充電(救援車の電気を借りて始動)した。
- □ 故障車が始動したら、安全な繋ぎ方の逆手順でケーブルを外す(黒ケーブル→赤ケーブルの順)。
- □ 黒ケーブルの故障車側(金属部)から外した。
- □ 最後に赤ケーブルの故障車側(プラス端子)を外した。
連絡先・携行品
- □ ロードサービスの連絡先を知っている。
- □ ブースターケーブル、三角表示板(発炎筒)、軍手を携行している。

最短30分で駆けつけます!
車の故障・パンク・事故車のけん引など、
車のトラブルは「カーレスキュー隊24」に
お任せください。
便利なお支払い方法も充実!
-
現金OK

-
カード払いOK

-
後払い決済OK






